アメリカのトラックから〜大学でアスリートを続けるという選択〜

アメリカの大学に複数校出願し、総合大学とリベラルアーツ大学の両方に合格した私は、当初は総合大学への進学を考えていました。


総合大学のクラスの豊富さや、生徒の多様性に魅力を感じ、専攻は具体的に決まっていないものの、総合大学のリベラルアーツ学部で自分の興味のある学問を見つけられたらいいな、と思っていました。

けれど私は今、DePauw Universityというインディアナ州の田舎にある小さなリベラルアーツ大学に通いながら学生として、またアスリートとしての生活を送っています。
 

アスリートとして選んだ大学

上の写真は、クロスカントリーシーズン初めの集合写真。男女40人全員で一緒に練習するとても仲のいいチームです。

 
今の大学を選んだ大きな理由の一つは、学校訪問した際に感じたクロスカントリー・トラックのコーチやチームメイト、練習環境の良さに惹かれた事です。アスリートとしてのキャリアを続けるには絶好の場所だと直感しました。

もちろんアスリートではない人から見れば、「スポーツ」を基準に総合大学からリベラルアーツ大学へ進学先を変えるという選択に疑問を感じるかもしれません。


しかし、「Dividion3」のクラブに所属できるというのは、私にとってとても魅力的でした。


〈Dividionとは?〜アメリカの部活動の仕組み〜〉

DivisionとはNCAA(全米体育協会)によって、学校のもつ部活動の数によって数字がつけられます。


総合大学、州立大学は生徒数が多いので、それだけ提供できる部活動の数も多くなり、Division1になる傾向が高く、中規模の学校がDivision 2、リベラルアーツや私立の学校のような少人数の学校は部活動の種類も少なく Division3に多く見られます。


Divisionの数は競技のレベルではないのですが、アスリート一筋として活躍する選手は、より優れた練習環境を求めてDivision1を選びやすいので、Division1のレベルが高くなりがちです。


またDivision3はスポーツの成績で選手をスカウスとすることができないのに対し、Division 1、Division2の学校はアスリートに奨学金を出し、スカウトすることができます。


そこで、経済的な理由でDivisionを選択するアスリートも少なくありません。


〈なぜDividion3に魅力を感じたのか〉

Division3はただのアスリートではなく、Student-athleteと考えられています。文字通り優先順位として生徒としての役割、つまり学問に先に重きを置きます。


Divison1 やDivision2などの、オリンピックやW杯などの全米屈指のアスリートを送り出す、スポーツを続けることで学校からお金をもらい、プロとして活躍するわけではありません。

Division3でアスリートを続ける学生は、スポーツだけでなく、勉学にも力を入れます。

"I want you to continue to love running for the rest of your life, and I want you to continue loving your entire DePauw experience for the rest of your life as well."

これは4月に学校訪問をした時に、コーチが言ってくれた言葉です。


この言葉をきっかけに、大学生活も走ることも、共に楽しめる場所はここしかないと思って、Division3のDePauw University を最終的に進学先として選びました。

写真:キャンパスの隣にあるDePauw Nature Parkは練習環境に最適です。


私が今取り組んでいるクロスカントリーとは?

 クロスカントリーは日本ではあまり聞き馴染みのないスポーツかもしれません。正直、私も日本では数回しかレースを走ったことがありませんでした。


簡単に説明すると、デコボコの山道や芝生などのアップダウンの激しい整備のされてない道を走る長距離のレースです。

距離は大学女子が6キロ、男子が8キロです。もちろん、個人順位もつきますが、チームとしての総合順位もつきます。

個人のゴールした順位がそのまま点数になり、チームメンバー上位5人(大会によって前後する)の合計点数が総合得点になり、その点数が低いチームから順位がつきます。

前を走るランナーとゴールしたタイムが、たった1秒差でも、15秒差でも1点しか変わりません。

チームに1位でゴールしたランナーがいても、5番目のランナーが100位であれば、チーム5人全員が20番代でゴールしたチームの方が総合成績は良いということになる時もあります。

実際の試合では、次々とランナーがゴールするので、結果が出る最後まで順位が分からないのがこの競技の面白いところです。

写真:毎回レース前はチーム全員で円陣を組んで、コーチとキャプテンから喝をいれてもらいます。


レース中のチームメイトはライバルでもあり仲間でもあります。


個人としてのレースも大切ですが、チームとしての総合成績も重要です。


6キロという長いレースのうち、序盤はできるだけタイムの近いチームメイト同士で固まって走り、遅れそうなメンバーがいたら声をかけてお互いに励まし、精神的に支え合います。

これまでに5キロ以上のレースを走ったことがなかった私にとって、 最初は6キロという距離を走るということ、さらに、コースの高低差もあり 、体力的にも精神的にもしんどかったです。

しかし、日々の練習を共にしているチームメイトがレース中に背中を押してくれて何度も助けられました。

また、コースのいたるところでコーチや男子チームが応援してくれたり、DePauwのTシャツを着た卒業生やチームメイトの家族が声をかけてくれたりするので心の支えになりました。 
 

私にとって走ること

初めて陸上の大会に出たのは小学校1年生の冬 。市内の小さなロードレースに参加しました。


当時は「31位以内になったら、サーティワンのアイスを買ってあげるよ!」という母からのご褒美を目標に、毎回大会に出る1ヶ月前ぐらいから練習をしていました。


練習すればするほど、長い距離を走れるようになり、また、タイムも早くなり、努力が結果に表れることで、走ることが好きになりました。


その後、小学校4年からチームに加わり毎朝練習をするようになりました。


この頃から毎月試合や記録会に出場するようになりました。そして、中学校から陸上部に所属し、高校3年の引退まで続けました。


実は陸上より少し前に水泳を始め、約10年間、陸上と並行して、地元のクラブで水泳を続けていました。


高校1年生の時、アメリカに1年交換留学を経験し、その時に初めて陸上ではなく、競泳のみのシーズンを送りました。


しかし競泳だけの生活では、陸上をしていた時に感じていた達成感がありませんでした。そしてその時に初めて、陸上が私の中で占める割合が高いことに気づきました。


幼い頃から走ることが好きではあったものの、大学で競技として陸上を続けるつもりはなく、趣味で走ることは続けよう、と思っていた程度でした。


しかし、気がつけば人生の半分以上走ることを生活の一部にしてきた 私にとって、もはや、続けないという選択肢はなかったかもしれません。


出願エッセイも陸上について書き、自己分析をしていく中で、自分にとって改めて“陸上”の存在の大切さに気づき、大学でも競技者として続けたいと思うようになりました。


以上が私のアスリートとしての学校選びについての話です。次回は、実際にStudent-athleteとして、どのような1日を過ごしているのかを紹介したいと思います。

 
2017/11/28 nana
 

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