実践型リベラルアーツ: Beloit College紹介

前回の記事ではBeloit Collegeを離れた理由を書いていたので、この大学ってイマイチじゃない?とお思いになっているかもしれませんが、そんなことはありません(実際、筆者はこの学校好きでしたよ)。


新たな大学に移ってからもう一学期が経とうとしていますが、忘れないうちにBeloit Collegeの特徴や魅力を紹介していきます!


基本情報

  • 所在地:アメリカ合衆国ウィスコンシン州ベロイト
  • 生徒数:1300人程度
  • 田舎?都心?:田舎
  • 大学を一言で表すと:(いろんな意味で)リベラル
  • 日本人学生の人数:10〜20人程度(交換留学生含む)

最終的にその大学を選んだ理由

筆者はオハイオ州にある総合大学Miami University – Oxfordととても迷いました。


決め手の一つとしては、卒業後につながる教育をしているかということでした。Beloit Collegeの卒業生の大学院進学率は高かったですし、Liberal Arts in Practiceといって、授業で学んだことを実社会に応用するというプログラムが盛んでした。


ビジットした際の大学と周辺の環境も大きなファクターになりました。両校とも田舎だったのですが、ベロイトの方が大学生以外に人が住んでいる街だったので、生活するにはいいのかなと思いました。


これらと3-2 Engineering(前回記事参照)の他には奨学金もBeloit Collegeを選んだ理由の一つです。州立と私立の違いがあるとはいえ、Miami Universityの2倍以上の奨学金をもらえたのは大きかったです。


学校の特徴〜アカデミック〜

1. 必修科目がない

一般の大学では1年生のうちに英語(ライティング)などが必修になっているところが多いのですが、Beloit Collegeでは一切ありません。


厳密に言えば、1年時に全員FYIというセミナー形式の授業を取るのですが、その授業のトピックは入学前に選べるので、全員が同じ授業を取るということはないです。


代わりに、5つのカテゴリーから1単位ずつ授業を取るのが卒業要件の一つになっています。ちなみに、なぜか同一カテゴリーに外国語と数学が分類されているので、数学の単位を一つも取らずに卒業なんてこともできます笑。


2. ダブルメジャー+αができる

リベラルアーツカレッジの利点の一つとしてダブルメジャー(専攻が2つ)が挙げられることが多いのですが、Beloit Collegeでは、ダブルメジャー+αをしている人をよく見かけます。


よくあるのはダブルメジャー+マイナー(副専攻)の組み合わせです。もう一つはかなりレアですが、トリプルメジャー(専攻が3つ)をしている強者も中にはいます。


これができる理由の一つとしては、メジャーに必要な単位数が比較的少なめということがあると思います。卒業には31単位必要なのですが、メジャーは約11〜12単位前後でできてしまいます。異なるメジャーでも必要な授業が被っていることが多々あるので、これを上手く使うとダブルメジャー+αができます。


3. 留学制度が充実している

小さい大学ながらも、留学先はヨーロッパやアジアのみならず中南米やアフリカまで多岐に渡ります。全体の約4割が半年または1年間の留学を経験していて、場合によっては1年で2箇所に行くこともあります。


さらに、大学で指定されたプログラムでなくても、例えばリサーチ目的で夏休みの間に海外へなんてこともできます。その場合、先ほどちらっと出てきたLiberal Arts in Practiceの名目で大学に申請すれば資金援助もあります。


もちろん、この留学制度は留学生でも利用できます。留学先が決められないという方は、留学先の留学制度を使って別の国へという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか?


4. チャンスの掴みやすさ

確かに総合大学に比べれば、規模が小さい分チャンスの絶対数は少ないです。しかし、学生数も少ないので、その気になれば(それなりに実力も必要ですが)どんどんチャンスを呼ぶことができます。


筆者は2年次までしかいませんでしたが、それでもティーチングアシスタント(教授の補佐役)やチューター(個別教師)などを任されたりしましたし、大学で使用していたオープンソースの教科書の編纂にも協力しました。


こうした機会は総合大学ですと大学院生が取っていってしまうのですが、Beloit Collegeには大学院がないので、学部生にすべて回ってきます。


学校の特徴〜生活面〜

1. 買い物

基本はダウンタウンかウォルマートかアマゾンで済ませます。大学からダウンタウンまでは徒歩数分なので、ちょっとした日用品を買いたい時や外食をしたい時によく行きます。


ダウンタウンの様子。こぢんまりとしていてなかなかいいです。


ダウンタウンで手に入らないものはウォルマートで調達します。水曜日と日曜日に大学から無料のシャトルバスが出るので、車を持っていない人たちはそれに乗って買いだめしに行きます。


また、週末にはシカゴに行くバス停までのシャトルバスもあるので、シカゴに行く人も割といます。バスで2時間程度なので気軽に行くことができます。


2. 食事

食事処はメインの食堂、売店、カフェの3つがありますが、お味はそれほど期待しない方がいいと思います。これはおそらく中西部の小規模校にはすべからく当てはまるかと(偏見)。ですので、日本からは調味料と自炊のスキルを持ってくることをお勧めします笑。


とはいっても食堂のメニューは毎日変わりますし、売店も頼めばいろんなもの作ってくれる(一時期はラーメンが出ていたことも)ので、飽きることはないかと思います。でもやっぱり日本の味は恋しくなります。

売店とカフェが入っている建物。お昼休みには行列ができます。


3. 住居

基本的に4年次を除いて寮暮らしで、全体のおよそ9割が学校内の寮に住んでいます。


一口に寮といっても実態は様々で、煉瓦造りのいかにも伝統的なものから民家をそのまま転用したものまであります。また、特定の興味分野を持つ学生同士が集まって住んでいる寮もあります。

寮の中庭。冬は雪か氷で覆われます。


さいごに

冒頭の一言紹介にありましたが、Beloit Collegeは政治的にもものすごくリベラルです。トランプ大統領が誕生した2016年の選挙では、大学はトランプ大統領反対で大荒れでしたし、周りの選挙区が共和党支持一色だったのにも拘らず大学のある選挙区だけ民主党が勝っていました。


それが日本人留学生にどう関係しているのかというと、留学生を歓迎する風潮が強く、留学生に対する理解を示してくれる学生が圧倒的に多いということです。アメリカの田舎はまだまだ人種差別が根強いところもあるのですが、少なくとも大学内で差別を感じたことはほぼありません。


こういうこともあって、中西部の小規模校ながらも留学生の比率が15%という高い水準になっており、多様性のあるキャンパスになっています。


個人的には海外経験の少ないもしくはゼロの日本人が、留学生としてのキャリアを始めるのにはうってつけの大学だと思っております。この記事を読んで少しでも興味を持っていただければ幸いです。


2018/11/08 yuya

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