「人生の夏休み」に何をするか:東大での課外活動

どうも、シェアブロ唯一の日本勢、東京大学のYuki.Tです。前回からずいぶんと時間が経ってしまいましたが、前回予告したとおり、東大での課外活動について語ろうと思います。


今回の記事で言いたいのは、「あなたがもし大学で机にかじりついて勉強するんでなしに、自分でいろいろ考え、アクティブに課外活動がしたいのであれば、日本の大学はめちゃくちゃオススメだよ!」ということです。


どこの国の大学に行くか迷っている人には、参考になるのではないかと思います。


時間があるのは良いことだ

大学は人生の夏休み。

これは僕が中学時代に聞いて、やっぱ日本の大学はダメやなと思うきっかけとなった言葉です。


大学は教育機関で、勉強するために行く場所のはずなのに、どうして遊び暮らそうと思えるのだろうかと。


大学に受かったら好き勝手できると思っていそうな周りの人たちを見て、非常に残念に思ったものです。


しかしいざ日本の大学に入ってみると、なるほど、あの言葉は日本の大学生活の特徴をよく捉えていたんだなあ、と感じます。


考えてみれば、中高生のみなさんも夏休みの過ごし方は、本当に人それぞれでしょう。


毎日のように部活の練習に打ち込んだり、ここぞとばかりに海外でのプログラムに参加したり、はたまた毎日塾でずっと勉強していたり。


逆に家でずっとゴロゴロしていたら終わった、なんて人もいるかもしれません。


何かにちゃんと打ち込むのか、それとも遊び暮らすのかを自分で選ぶことができる。それが「夏休み」というものです。



日本の大学生には自由に使える時間があります。


それは、良くも悪くも大学側が「勉強」が学生の生活の中心になるように強制しないから。


この機会をただ漫然と過ごして殺してしまっては、中学生の僕が反発した残念な大学生になるわけですが、一方できちんと考えて何か打ち込めるものを見つけることができれば、大いに成長を遂げるチャンスとなります。


それは勉強でもいいし、それ以外のことでもいい。そこに日本の大学の良さがあると思います。



逆に、アメリカの大学に行った友人から意外とよく聞くのは、向こうだと授業の準備が大変すぎて、課外活動に手を出すような余裕がなくなってしまうということ。


もちろん大学にもよるし、その人自身のキャパシティーにもよるのですが、「学校の勉強」と「課外活動」を天秤にかけたときに、課外活動の方がウェイトが大きい人というのはなかなかいないようです。


課外活動天国・東大

東大って、高校時代に学校の外で課外活動なんかやらず、一心に受験勉強をして入ってきた人たちが、大学に入ったら今度は高校と同じように部活に打ち込むかサークルで遊ぶかしてなんとなく大学生活を送っている場所、なんて印象があるかもしれません(僕だけか?)。


でも実際は、本当にいろんな人がいます。1年生のうちから放課後に自主的に量子力学の勉強会を開いている人たちがいたり、めちゃくちゃスパルタで教育熱心な先生を中心に国際哲学オリンピック出場者など猛者が集まって日夜哲学の議論や論文執筆をしていたり。


起業している人もたくさんいるし、大学に通いながらIT企業でインターンする理系学生や自らのデザインスキルで企業相手に商売してる人たちなどは枚挙にいとまがありません。


大学の授業にとどまらない活動ができるのは裏を返せば「大学のカリキュラムが弱い」ということなので一概に良さと言っていいのか分かりませんが、少なくとも面白い人たちがたくさんいるコミュニティーであることは確かです。


僕自身、東大でやってきた課外活動は種類ではそれほど多くないのですが、「東京大学新聞」という学生新聞での活動を通じて大いに自分の視野を広げ、やりたいことを実現させるプロセスを経験してきました。


もともと新聞業界に興味があり入った東京大学新聞ですが、大学のイベントや教授へのインタビューから始まり、広告記事の企画営業でいろんな企業の人たちの仕事ぶりを見られたり、OBOGのツテを頼って大手新聞社や出版社、メディアの専門家から直接アドバイスをもらったりと、「学生新聞」と聞いて最初に思い浮かべるようなものとは大いに違った刺激を受けることができました。


大学に入って建築に興味をもち、進学選択で建築学科に進もうと思い始めてからは、「建築特集号」を企画して憧れの建築家・安藤忠雄さんに直接話を聞きに行くなんてことも。学期中に大阪まで出張できるのも(ちなみに東大新聞は法人化してるので旅費も経費で下ります)まさに日本の大学だからだと思います。


そしてシェアブロの読者のみなさんにもぜひ読んでもらいたい一大企画「蹴られる東大」。


東大を半年でやめて海外に行く人たちの存在は海外大受験をしている人たちの間では常識ですが、東大の中ではまだ全く常識化していない状況を見て、実際に海外に渡った学生や教育の有識者に読者が東大を相対化できるような話を聞き記事化しました。


この連載をやったことで、実際に周りの人の反応が変わったり、オフィスアワーを始めてくれた(らしい)教授がいたり、「社会にインパクトを与えるってこういうことなんだな」と始めて実感することができました。こういう経験を高校生時代にできていたら、エッセイもよりいいものが書けていただろうな、なんて思います。


東大新聞でこういう活動ができるのも、東京大学という大学が持つ強みに負うところは大きいです。


  • 自由な時間が多い(授業の取り方にもよるが)
  • 東京という企業や大学が集まる地域のど真ん中にある
  • 地方への移動も便利
  • 日本人に限って言えばOBOGのネットワークが異様に広く、普通の学生ならリーチできないような人・場所にもアクセスできる
  • 日本国内に限って言えば(あまり健全な状態だとも思いませんが)現状、圧倒的なネームバリューがあり、東大に関係ない人でも話を聞いてくれたりしやすい。


そしてこれは別に東大新聞だけの話ではなく、大学の外で活動している多様な人たちにも当てはまるような気がします。


挑戦しようと思ったらとことん挑戦できる環境が、東大にはある。これは東大の良いところと聞かれた時に僕が一番推したいポイントです。


決めつけないで、見てみよう

シェアブロにたどり着いているということは「海外大受験」という選択肢を知っているというとても恵まれた状況にあると思うので、ぜひ日本や英米以外の大学、「大学に進学しない」という選択肢も含めて、決めつけないで見てみた上で、自分が納得できる進路を選択してもらいたいと、高校時代の自分を振り返って思います。


「このまま東大(に限らず日本の大学?)に行ったら何も考えないダメ学生になってしまう」と思ってる人がいたら、そんなことはないよ、ということだけは伝えたいです。


そして東大に関して言えばぜひ「週刊 東京大学新聞」や「東大新聞オンライン」を覗いてください!いろんな教授の研究や、挑戦する学生を取り上げているので(ちなみに受験する大学の学生新聞を読むというのは米国大のエッセイを書くときなんかも大切になってくるので、ぜひ意識してみてほしいと思います)。


最近は「キミの東大」という東大当局運営の高校生向け公式宣伝サイトもできました。日本の大学もどんどん変わっているので、存外悪いものでもないかもしれません。


2018/10/30 Yuki T.

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