プラハで過ごした秋学期:短期留学先での学び

秋学期はチェコ共和国のプラハで過ごしました。2年生の1学期は留学するには早い時期で、皆さんは大体2年生の後半から3年生の前半に行くのが主流のようです。実際、プラハのプログラムに2年生は全体約20人中3人しかいませんでした。


カールトンの留学プログラムはざっくりと2種類あります。一つはカールトンの教授による、カールトンの生徒のために企画されたもの。もう一つは、カールトン外の大学へ勉強しに行くものです。私が今回行ったのはカールトンのプログラムで、プラハで1学期間Cross-Cultural Psychopathology (比較文化精神医学)を主に学ぶという心理学のプログラムでした。


カールトンに入る前からCross-Cultural Psychology (比較文化心理学)に興味があり、今回参加したものは2年に1度しかないプログラムのため、4年生としてよりも2年生として行きたいと思いました。


またとても正直な話、ミネソタの田舎にあるカールトンに戻ることに若干抵抗があったという消極的な理由もありました。


比較文化精神医学の授業で学んだこと

このプログラムは、比較文化精神医学の他、中央ヨーロッパの歴史と、ヨーロッパの美術史またはチェコ語入門の授業のどちらかを選択するという構成でした。比較文化精神医学は引率のカールトンの教授が教鞭を取り、その他2つの授業は地元の教授でした。


比較文化精神医学の授業では主に、文化によって精神病の症状の出方や、社会による捉え方がいかに違うかについて勉強しました。例えば、この授業で読んだEthan WattersのCrazy Like Usでは、スリランカでの津波後に被災者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)を心配して欧米から多くの精神科医や心理学者がアフターケアをするために訪問したけれど、それがいかに「西洋的な考え方」による「余計な御世話」だったかを筆者が述べていました。


欧米では、被災者はすぐにPTSDの心配をされるけれど、スリランカの人々はそもそもの文化の違いからものごとの価値観や捉え方が違うため、PTSDの症状は出なかった、とWattersは述べ、文化を超えた精神病の診断や扱い方の難しさについて批判的に述べていました。この様な事例についていくつか読み、授業ではディスカッションを通して知識を深めました。


このプログラムの特徴的な比較文化精神医学の授業として、チェコの精神病棟への訪問授業も何度かありました。特に印象的だったのは、裁判の結果、性的倒錯の治療を勧められた性犯罪者が収容されている精神病棟へ行き、精神科医の方と過去に性犯罪を犯した患者らの話を聞いたことでした。


アメリカでは性犯罪受刑者は厳重なキャンプや刑務所に収容され、登録などもされる中、チェコでは場合によって精神病棟に入ることを勧められるという違いがあり、性的倒錯に対する視点の差が垣間見えます。また、統合失調症の患者らが入院する精神病棟の医師の話を聞いた後、実際の患者の病気による経験について聞きました。


メインの授業として比較文化精神医学の授業は非常に充実していましたが、自分は臨床心理学にあまり関心がないためか、個人的には中央ヨーロッパと美術史の授業の方が新鮮で、学びが多かった様な気がします。


その他の授業で学んだこと

中央ヨーロッパの授業では、主に1918年のチェコスロバキア独立から現代までの流れを勉強しました。1938年から1945年の第二次世界大戦終戦までのナチス政権による支配と、1948年から1989年までのソ連による共産主義支配について特にフォーカスされました。


プラハ市内にある共産党博物館に足を運んだり、ソ連政権下のウラン炭鉱で働いていた元政治犯のお話を聞きながら実際に炭鉱跡を訪れたりと、貴重な経験がいくつもできました。


美術史の授業はざっくりと古典主義やゴシックからルネサンス、バロック、アール・ヌーヴォーや印象派、表現主義、シュールレアリズムなどについて学びました。


授業構成として、毎週1日はレクチャーをしていただき、もう1日はプラハ市内の教会や美術館に遠足に行き、知識を深めていきました。プラハ市内には様々な建築様式の教会や歴史的建造物があり、教授の説明を聞きながら建物や絵画を分析することで、より実践的な形で美術史を学ぶことができたと思います。


授業以外での活動とまとめ

このプログラムは授業以外でも、チェコ内外へ修学旅行に行く機会がありました。2週目にはスロバキアへ登山に行き、学期後半にはポーランドのクラクフへ行き、アウシュヴィッツへ行く機会もありました。


チェコ国内では、チェスキークルムロフや温泉街で有名なカルロヴィ・ヴァリなどに行く機会もあり、実際プラハ市内で週末を過ごすことは10週間中3週くらいしかありませんでした。


結果的に、授業の内容的にもプログラムの全体構成としても非常に充実した内容だったと思います。特にプラハは町並みも非常に美しく、物価も安いため、短期間滞在して勉強する場所としては最高の環境でした。冬学期、ミネソタのキャンパスに戻るのは少々気が重いですが、来学期も頑張りたいと思います(笑)。


2019/01/02 かめのゆ

海外大留学生ブログ - シェアブロード

海外大学受験や大学生活で感じたことを、現役大学生が素直に綴ったブログのような読みやすいサイトです。海外大学を目指した理由や、今の学校を選んだ理由。自分たちが出願時に知りたかったことや、知っておきたい素敵な団体や人も紹介します。 誰かにとってのマイナスポイントは、他の誰かのプラスポイント。

0コメント

  • 1000 / 1000