【米大学の卒業生を集めて座談会・前編】日本にない教育を求めて海外へ。想像とのギャップについて聞いてみた

こんにちは。natsumiです。

昨年初夏、シェアブロード設立当初からのメンバーであり、Class of 2021のメンバーの多くが大学を卒業しました。その卒業にあたり、四年間の大学生活を振り返ってもらうべく、八月末に座談会を開催しておりました..。そこから半年が経過してしまいましたが、今回はその様子を前編・後編に分けてレポートしていきます。


この記事を通して、高校生の読者のみなさんに、よりリアルで具体的な海外大学進学のイメージが伝われば嬉しいです。また、大学生の読者のみなさんにとっては共感できたり、励ましになったりするような話がたくさん聞けたように思います。ぜひ期待して読み進めてもらえればと思います。


目次:

前編(受験期〜大学生活)

  • 地方の高校生が、受けたい教育を求めて海外へ
  • 思い描いていた大学生活との良いギャップと悪いギャップ
  • 想像していたよりも地味?留学の機会や課題の内容は学部それぞれ!

後編(卒業後の進路について)

  • 好きを見つけた、未来につながったターニングポイント
  • 自分を知ること。流されず、納得する道を選ぶこと。


参加者プロフィール

ー名前、卒業校名、専攻、現在していること(卒業直後、2021年夏時点)

あむ(司会進行)

  • College of Wooster
  • コミュニケーション、哲学専攻
  • Class of 2021の12月卒業のため、今回は学生の立場から司会を担当

えりか(CA)

  • University of California, Santa Barbara
  • コミュニケーション学専攻、演劇・教育・ビジネスマネジメント副専攻
  • 新潟県南魚沼市で、ファーストリテイリング財団(ユニクロ)からの支援のもと、新しい教育事業を立ち上げる。人の育成・コーチングをするコンサル会社に就職予定。

えりか(MS)

  • Carleton College
  • 統計学専攻
  • 10月に入社するまでの間実家でのんびり

ゆめか

  • University of Pennsylvania (19年にCarleton Collegeから編入)
  • 認知科学専攻
  • フィラデルフィアからボストン拠点のNGOに在宅勤務

ななか

  • Boston University (19年にMount Holyoke Collegeから編入)
  • 生物学、心理学専攻
  • マサチューセッツ州にある特別支援学校で働きながらメディカルスクール出願の準備

※同名が二人いたため、大学の所在する州別にえりか(ミネソタ、以下MS)・えりか(カリフォルニア、以下CA)と表記しています。


地方の高校生が、受けたい教育を求めて海外へ


Q1. 海外大に進学することになったきっかけを、高校生の当時の環境を含めて教えてください。


ゆめか:今考えると、気持ちの面で突っ走っていたかな。中学は北京のインターナショナルスクールで過ごして、卒業生たちもアメリカの大学に進学していたので、自分もそうなるんだろうなと思いこんでいた節はあるかも。


高校は日本で通ったけど、学びたい分野が心理学とか認知脳科学だったから、日本の大学の枠組みの中で文学部を受験するのもピンとこなくて。でも正直、冷静に何か考えていたわけでなくて、今思うと気持ちの面で(アメリカの大学しかないと)突っ走っていたと思う。


あむ:私も、アメリカにしかリベラルアーツはないと思いこんでたもん!高校生の段階で、色々な国や教育の仕組みを冷静に比べるって難しいし、自分にはこれしかないって飛び込む勢いも大事だったりするよね。


えりか(CA):私が海外を目指したきっかけは、学びたいもの、将来やりたいことがわからなかったから。よくよく考えて、今まで好きだったものを学び続けながら他のことも勉強したいと思った。


具体的には、まず10歳からやってた演劇を続けて、そしてどう伝えたら相手の反応が変わるのだろうとか考えるのが好きだったから、心理学(最終的にコミュニケーション学)を新しく学びたいなって。どちらも学べる場所ということで、海外を目指し始めた。


実際に受験対策をしたときは、地元(新潟)にあまりない選択肢でもあったから、親以外の周りの大人に信じてもらえなくて苦労したよ。


あむ:先生と揉めた話をシェアブロの記事に書いてくれたの、すごい印象的で覚えてるよ笑


えりか(CA):そう、あの記事を読んでもらえれば、当時の状況がわかると思う笑


あむ:ところで、今回の座談会は地方組が結構多いの。ななかちゃんは高校が群馬だけど、出身も群馬なの?


ななか:アメリカに行くまでずっと群馬だよ。私が通っていたぐんま国際アカデミーは国際バカロレア校だったから、海外大進学した先輩は何人かいて。海外大学という選択肢がずっとあったことは、恵まれているかなと思う。


あと高校の時はリベラルアーツに憧れていて、たぶん教養を身につけるというより、やりたいことがわからなかったというのがあるんだろうな。私もリベラルアーツといえばアメリカだと思っていたし、最初はやっぱりアメリカのリベラルアーツに行こうと思っていた。


えりか(MS):私は日本に行きたい大学がなかったことが、日本以外に目をむけるきっかけになった。ずっと香川で生まれ育って、通っていた高校では国公立の大学行くのが万々歳な環境だった。それで私も先生に学校を勧められて見てみたけど、ピンとこなくて。


なんでだろうと考えると、それは自分が行きたい学部が分からなかったからだなと気づいた。高校では文系だったけど、数学、経済学とか色々な分野に興味もあったから、出願時に学部を決めるのが合わないと感じたんだよね。私の父がアメリカ大学院卒で、なんとなく海外の高等教育事情をわかっていたというのもあって、そこから海外大学を考え始めました。


時期としては、高校2年の秋ぐらいに海外大学の受験を決めて、学校の先生に許可とって、コモンアプリケーションのマニュアルの日本語訳を作ったりと準備のお膳立てをして、Agosという塾も使って、どうにかやっていけたって感じ。


えりか(CA):学校の先生に、一からこれをこうしてくださいと説明しなきゃいけないのが難しかったよね。


あむ&えりか(CA):うんうん。


ななか:そこらへんの苦労は、私はあんまりなかったかな。アメリカ人の先生とかもいたし。


あむ:そもそも学校が賛成してくれるかというところから差があるなと思ったし、サポートの量も違うよね。


卒業式(写真:ななか)


思い描いていた大学生活との良いギャップと悪いギャップ


Q2.思い描いていた大学生活と実際の4年間にギャップはありましたか?もしあれば、どう違ったのかも教えてください!


えりか(CA):ギャップとは違うかもしれないけど、渡航前はアメリカ文化・アメリカ人に馴染めるか不安だったのだけれど、4年間でそれは解消されたよ。最初の1年は、言葉が悪いけれどルームメートが最悪すぎて、それに惑わされたりもした。でもその後は、大きい大学&CA州ということもあって、いろんなコミュニティーを見れて、自分に合う居場所があるってわかった。


あとは、大きい大学はよく「先生との距離がある・知り合いを作りづらい・サポートがあまりない」と言われるけど、実際は言えばサポートがもらえるし、大きな大学で圧倒されるということはなかったかも。


サポートの有無ではなく、自分から行けばあるか、行かなくても自動的に大学の方からサポートを提供されるかの違いなのかな。大きい大学のネガティブなバイアスは、自分の行動で解消できるという気づきがあった。それと知らなかった専攻や、そのほかのことも思ってみなかった機会が多くて、想像もしてなかったことをいろいろ追加で体験できたというのが良いギャップかな。


あむ:あの船の写真みたよ、楽しそうだったよね。あれは世界を回ったの?


えりか(CA):そう、楽しかったよ。世界を船で旅する留学プログラムでヨーロッパ、アフリカ、南米、アメリカでゴールで14カ国かな、学んできました。


あむ:それは高校の時に想像できないよね。


えりか(CA):それも行ってみて気がついた選択肢だから、高校の時思い描けなくても、やりたいことは見つかるよというのは読者に伝えたいな。


あむ:ほかの皆さんは、思い描いていた大学生活と実際の違いについて、どうですか?


ななか:私はそもそも具体的な大学生活をあまり想像していなかったけど...。高校の時は漠然と研究をしてみたいなと思っていたくらいだけど、実際にやってみて、思ったより大変だな〜時間かかるな〜と思いつつ、こんなにしっかり研究できるんだというのはあったかな。あと思ったより大学でダンス踊ってたね笑。


あむ:高校の時から踊っていたの?


ななか:高校の時からバレエをしていたけど、アメリカではコンテンポラリーダンス知らないとと思って習い始めたり、他にもエアリアルダンス(空中パフォーマンス)とか色々学べてよかったなと。いやー、全然想像していなかったね笑。


あむ:総合大学に編入したのは研究のため?


ななか:そうだね、大きな大学は研究自体は色々できるしね。


船留学、風が強い日の夕焼け(写真:えりか)


想像していたよりも地味?留学の機会や課題の内容は学部それぞれ!


えりか(MS):私が感じたギャップは、多様性についてかな。入学する前は、色々なバックグラウンドの人に会えるんだな、楽しみだなと思っていた。でもいざ入学すると、私立の大学なだけあって、実家が裕福だったり、白人が多かったりと、ある意味似たようなバックグラウンド人の集まりなのかなと。


大学があった街もすごく田舎で、大学を中心に構成されている大学街と言われるような場所だったから、私が見ているアメリカというのはほんの一面でしかないんだなって。ちょっとがっかりもしたけど、気づけてよかったなと思うよ。それがダメかというとそうではなくて、私と似た境遇の気が合う人と、喧嘩なくいられたというのは良い一面ではあると思うし。


ゆめか:私が一つ思ったのは、想像していたより地味というか。勉強が大変なのはわかっていたけれど、先輩や大学のアドミッションの人の説明からは、その粛々と目の前のできることをこなしていくというプロセスは映えないから紹介されていなかったし、あまり想像していなかった。実際の学期中は、本当に淡々と気持ちを無にして目の前にあることをこなして、気持ちと向き合うこともないまま過ぎていった時間が多いかもしれないなと、振り返ると思います。


(全員大きな頷き)


あむ:それはリベラルアーツでも、総合大学に編入した後でもそうだった?


ゆめか:わりとそうかも。


なつみ:それすごくわかります!!(書記に徹していたが、あまりに共感したため発言)


えりか(CA):その粛々と淡々とがあまりイメージできないけどどんな感じ?


なつみ:私は卓球の玉(課題)がひたすら打ち込まれて、否が応でもレシーブし続けなければいけないというイメージです。あむさんはどうですか?


あむ:平日は授業のスケジュールも宿題の量も決まっているから、だいたい時間や週ごとにやることはルーティーン化されていて、その週にアサインされたものを返すという風に捉えましたが、ゆめかちゃんどうでしょう?


ゆめか:そんな感じです。特に私は二年の時は編入準備、四年で大学院受験の準備をしていたから、アプリケーションも書かなくてはいけないし、ぐだぐだしている時間がもったいない。愚痴ったりくすぶる時間もあるけど、そんなこと言ってられないという時期があった。


あむ:多分、アドミッションの人が話すような、「私の学びたいことはこれで、この授業とあれを取ろう!」っていうテンションでのキラキラは時間軸で見ると一部で。あとは「この論文読みたい!」とかじゃなくて、課題で出されたからやるという時間の方が長いよねとかそういう感じかな。


えりか(CA):大学の立地が、都市か田舎かによって違うということはない?


あむ:田舎のリベラルアーツ組としてはゆめかちゃんに共感できる。都市のリベラルアーツは違うのかな?(編入前に)マウントホリヨークにいたななかちゃんはどう?


ななか:マウントホリヨークも、ボストンが近いとはいえそこそこ田舎だけどね。他の大学と近いというのもあって、パリピしている人もいたね。でも私自身は粛々と淡々としていたタイプなので。課題がありすぎるよ!やるしかないよ!と。


あむ:CAのえりかちゃんはその粛々と淡々とという生活でもなかったのかな?


えりか(CA):私はそれもなくはなかったけれど、私の授業では毎週違った形の課題があって、バラエティーに富んでいたから毎週同じことやっているな〜という感覚はなかったかも。お題を自由に決められたりするのも、やらされている感がそれで軽減されていたのかもしれないと聞いてて思った。


ゆめか:学部や分野によるのかもね。


えりか(CA):うんうん、そうだと思う。もし受験生で余力があったら、行きたい学部を専攻したとき、インターンシップや留学の機会があるかとかを調べられると、想像と現実が近くなるかもしれないね。



次回後編に続きます。受験期を経て、実際にアメリカで大学生活をする中で、5人それぞれの『好きを見つけた、未来につながったターニングポイント』についてエピソードを共有してくれています!


2022/1/20 natsumi

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