【休学座談会レポート後編】海外大学での留学中に休学した5人で語ろう〜休学期間の振り返りとメッセージ〜

前回に引き続き、休学座談会のレポートをしていきます。前編では5人それぞれの休学の理由と何をして過ごしていたのかについて話をしましたが、今回の後編では思いがえない休学中の気づきから、休学を考える人たちへのアドバイスまで楽しく語り合いました!


目次:

  • 参加者プロフィール
  • やるべきことに追い立てられない時間の中での気づき
  • 一定期間大学から離れた今、大学に対して思うこと
  • 休学を考える人へ:休学して後悔する人はいない
  • さいごに


参加者プロフィール

休学期間とタイミング

  • あむ:4年生最終学期を前に1学期(2020年8~12月)
  • ゆか:4年生に進級前の1年(2020年8月~ 2021年5月)
  • エディ:3年生前期にあたる1学期(2020年8~12月)
  • なつみ:3年生前期を終えた後1年(2021年1~12月)
  • あずな:2年生後期にあたる1学期(2021年1月~5月)


やるべきことに追い立てられない時間に気がついたこと


Q. 大学の学期中と休学中では、時間の流れ方は違いましたか?


あむ:私は学期中の勉強が就活に内容が変わったという感じで、結局目標に向かってゴリゴリ進んだかな。


あずな:私は休学中はのんびり過ごす時間がありました。大学にいる間は強制されているわけじゃなくても、常にToDoリストがあって時間に追われていたので、休学中の「追われるのではなく、自分で使える」というのがいい休みになりました。自分の管理下で時間を使える感覚が幸せでした。休学しようと思ったのも、ずっと疲れ切っていたというのが正直大きかったんですけど、4月ぐらいには復活して、復学にはノリノリで前向きでした。


なつみ:自分で時間が使えるというのは良いことでもあるけど、難しいことにもなりえる気もするけれどどうだった?


あずな:そうですね。私の場合、日中にバイトや研究室とやることが決まっていて、そのほかの時間は完全に空いているという感覚でした。でも休学してから研究室の活動が始まるまでの最初の二ヶ月は、周りは何かしていて忙しそうだけど、自分は何もしていないという感覚も少なからずありました。時間が経つにつれてどうでもよくなったんですけど笑。


エディ:僕は休学にも「学業以外にやりたいことがある休学」と「休みたい気持ちが強い休学」の2種類あると思っていて、僕は後者寄りだったんですけど、ただ休みたかった休学でも無意識的にやることがないと不安になったり、やるべきことを探して入れたりしてしまうんですよね。だから、必要ないことをわざわざToDoリストに入れない、何か入れるならやりたいことだけを入れるというのを気をつけたほうがいいと学びましたね。そのほうが休学の価値が上がるかなと思います。自由な時間があるのがいいっていうのは、何もやらないのがいいわけではなく、やるべきことよりもやりたいことだけをToDoリストに入れるというところかなと。


ゆか:私はそこまで考えてなかったかも笑。私の場合、やらなきゃいけないことに追われるのが嫌というのもあるけれど、逆に何かをやってないと焦る自分も嫌だったのね。そこでニート生活をやりたくてやってみたけど、一ヶ月ぐらいで何もやってない自分に焦って、私ニートにもなりきれないなと思って。全てからちゃんと解放されたくて、思いのままに生きるように戻れるのに1年かかった感じがする。休学期間中にようやく、ちゃんとした意味でレールを外れることができたなと。


もう自分が何を食べたくて、何を着たいのかすら分からなくなっていたところから解放できたんだよね笑。だからこそ将来やりたいこともやっと見えてきた感じがしたね。だって、みんな色々言いつつ、休学しながらもちゃんとしたことをしているでしょ?それに比べたら私は休学中ニート期間長かったし、もう今はプロニートになれます。


なつみ:プロニートとは...?


ゆか:焦らなくなるんだよね笑。自分は社会に貢献していないとか、周りはこんなにやっているのにとか。他にも例えば、今大学行ってたらこれだけ動いていたはずとか、休学しなかった場合の自分との比較もあるし。そこが一年の休学期間の前半に悩まされた部分で、周りがやっていることに対して焦りが出て来なくなる=プロニート。


やっぱりアメリカで動いてる量は、自分で自立してできる量ではないと思うのね。それを差し引いてもだらだらしてるなと思う時もどこかにあって。かっちりオンオフ切り替えができない時もあって。でも今では天気に感謝できるようになったとか笑。人と比べなくなったし、自分の奥底にある欲求に敏感になった。


あむ:それはマイペースに生きれるようになったのとはどう違うの?


ゆか:周りのペースを気にしなくなったのが大きい気がする。他に例をあげると、小さなことだけれど、自己紹介で今までは肩書きを言っちゃいがちだったけどそれがなくなったとか。


エディ:僕もゆかさんのその肩書きを気にしなくなったという話は共感できて、おそらく時間がない中で生きてると肩書きはすごく人を知る上で便利だと思うんですね。ただ、時間があると肩書きは何も情報を伝えないというか、もっとなんか出るでしょっていう感じになる。だから人と話してもっとその人のことを深く知りたいみたいな感覚が、休学中に生まれてきた気がします。


ゆか:わかる、いいこと言ってる。


あむ:時間がある・ないで、自己紹介について考えたことなかったな〜。


ゆか:友達の大事さとか人間関係の構築についても考え直せたし、大事な1年でした。


日本の美味しいものをたくさん食べて充電しました(写真:あずな)


Q.ではなにか休学中にぶつかった難しいことや想定外なことはありましたか?


あずな:想定外の壁ではないけれど、周りに休学すると言うと「え、休学中何するの?卒業はいつになるの?」とか世間話で出てくるじゃないですか。私は休学に入る段階ではメンタルがやられてたので、その類の質問がちくちく胸に刺さるというか、そこが休学期間中では一番しんどかった時期でしたね。今では過ぎた話なので話せるんですけれど、当時の状態で「これから何するの?」は禁句ですね笑。


ゆか:私はもともと想定していたものが少なかったから特に想定外ではなかったけど、やってみてびっくりしたのはインターンとかを始めると時間が経つのがあっという間だということ。仕事をしたり、団体に所属したりすると一瞬で時間が過ぎるんだなってびっくりした。だからお金が必要とか、そういう気乗りしないけどしょうがなくみたいな気持ちで始めると、一瞬で休学の時間が消えるよとはいえるかな。ドンピシャなものをして、休学期間を自分のものにしたほうが身になりそうだなと思う。それが「何もしない」だとしても。


エディ:僕は想定以上に、時間をただ過ごすことにいい効果があるんだなと思いましたね。例えば誰かが亡くなったとか誰かと別れたっていうショッキングなニュースがあったときに、社会のコンセンサスとして時が癒すってあるけれど、僕は今まではそれを信じてなかったんですね。とりあえず休学をするけれど、休学してもどうせこの悲しみは変わらないんだなと思っていたけど、休学してみたら意外とケロッとしてて、時は癒してくれるなと思いました。


あむ:私は、就活が終わった後の完全に休みの期間に、仕事も勉強もないと何をしていいかわからないっていうのに気づいたかな。今では私もプロニートなのよ。気ままに本を読んだりできる。海外大生は割と、やれと言われれば無でやれる人も多いと思うけど、目標達成以外の人生の楽しみ方をできるようになっっておいた方が人生豊かな気もする。大学からストレートで忙しい業界に入って社畜に...と考えたら、一回どこかで目標達成がなくても幸せになれる技術を身につけとくのはいいと思いますね。


ゆか:あむちゃんからその言葉聞けて嬉しいよ、本当に。


なつみ:みんな想定外の気づきがあったという感じですね。


インターンをしていた時の写真(あむ)


一定期間大学から離れた今、大学に対して思うこと

Q.みなさんは復学に際してどういう心持ちでいますか?ワクワク?


あむ:私はコロナ以前に、新学期で大学に行きたくなさすぎて空港で貧血起こしたことあったんだけれど笑。辛いし、3年生とかになると新しいこともないし、ご飯おいしくないし行きたくないと思う部分もちらっとあって。でも1年休んで日本食いっぱい食べたし、向こうで学べることもあるから、戻ってやってもいいかって渡米をポジティブに捉えられるようになったかな。すごく行きたいとまでは言わないけれど、今は行ったら行ったで楽しいかなみたいなという気持ちです。


あずな:私もわりとその社畜タイプなので、仕事を与えられたら喜んでするし、期待を超えて応えようとするんです笑。だから冬は戻りたくないと思ってたけれど、今は久々にバリバリしたいと思い始めてる。


でも根は自分に甘いので、仕事が与えられる環境がなければ、問題なくニートできる性格でもあって、だからニート生活を満喫できてよかったです。休学期間を経て、今ではアメリカに戻ることをポジティブに捉えられています。久々の対面授業と、あと馬にも乗れるしいいかなと。体力が低下したので、向こうに戻って寝ない生活をできるか心配ではあるんですけれど。


あむ:わかる。でもまず向こうでも寝た方がいいんだけどね。


ゆか:学期中も寝たほうがいい笑。私は二人に比べたらそこまでポジティブではなくて、逆に最初の3ヶ月の方が大学ってすごい場所なんだなと感じていたのね。というのは、コーチングをやって、(心理学を筆頭に)自分が学んだものがこういうふうに活用されるんだとか思ったり、大学では教授にすぐに質問ができて、集中できる環境があって、一緒に学べる友達がいてという環境が好きだと感じたり、残りの1年大事にしようと思った。


ただ、戻りたいかと言われると別で。贅沢なことを言うと、行けるから行くかぐらいのテンションでいる。授業は楽しみだけど、別に受けなくても困らない。ニュートラルな気持ち。時がきたみたいな笑。


エディ:僕は本格的な復学に際して、楽しみが大きいですね。休学前の自分の学業への取り組み方に後悔がたくさんあって。例えばもうちょっと締め切り前に出しとけばとか、もっと頑張れたなとか、休学中に振り返りました。だから、復学してもう一回ちゃんとやってやろうって感じですかね。


なつみ:その清算するっていうのはすごく共感。私も1、2年の大学生活で蓄積された、もう少しどうにかできただろうという自分の行動を気持ちの面では整理できました笑


休学中に行った、しまなみ街道サイクリング(写真:エディ)


休学を考える人へ:休学して後悔する人はいない


Q.では最後にみなさん、もし休学を考えている人が目の前にいた時、その人に向けて伝えられることは何かありますか?


あむ:えーと、休学を迷うのは、レールを外れることに対する抵抗なわけじゃん。純ジャパが、おそらく後悔しないとわかっていても、海外大学進学に迷う時の抵抗感と近い。すでに行っている側も確約はできないわけよ。「向こうに行って辛かったとしてもたくさん学びがあるよ」とか言っても、その人に当てはまるかはわからない。でももし休学を迷うその抵抗が単純にレールを外れることへの抵抗だったら、外れて後悔はあまりしないと思うっていう感じですかね。あと私から少し言えるのは、就活のための休学はあり。オンライン授業で日本にいたから選べた選択肢ではあるけど。ボスキャリで進路を決めていいのかっていう疑問は以前からあった。コロナがなくても、学期中に並行してとりあえず就活ではなくて、一回休学もいいかなと、やってみて思った。


あずな:私は、大学から一回離れて、大学への向き合い方や学びに対する向き合い直しができたり、休学したからこそ得られる視点があるよということは伝えられると思います。


ゆか:大学の外で過ごしてみることで、普段学んでいることがどう活かされていくのか見えたり、大学でしかできないこと・大学ではできないことがわかったり、少しするかも。私は、学生っていうブランドがあるうちに、社会人と話せるのは特権だなって思った。社会経験的なことは卒業後でもできるけど、休学のうちにすれば、学生っていうポジションを手にできるし、その立場で社会人と話せるのはいい。助けてくれるし、甘えられるし。一回卒業したら社会人として話会うからね。


休学すること自体のハードルが高い人は、一旦休学してみちゃうとその後レールを外れることへの抵抗が薄くなりますよ笑。 きちんとした目的を持っていなくても、休学して初めて得られる予想もしていなかった出会いもありますし、大学生活に疲れたなら「立ち止まってみる」のも立派な目的だと思います!


エディ:僕は今日みなさんの話を聴きながら感じたのは、どんな形であれ楽しんでいるようだし、もし迷う段階まで来てるのであれば休学した方がいいと思います。何かを天秤にかけているとして、休学が得体の知れないものだからいまいち比べられないということで迷っているのなら、休学して後悔している人はいないと思います。


さいごに

以上で座談会レポートは前編・後編と完結です。今回のこの「 海外大学での留学中に休学した5人で語ろう」の企画はいかがでしたか?


実際に休学中の筆者が、三者三様の休学のエピソードを他のメンバーにも聞いてみたい!振り返ってみてのアドバイスがあれば聞いておこう!と企画した今回の座談会でしたが、単にそれぞれの体験談を聞けただけでなく、私が休学中に感じていたスピードダウンへの焦りなど、自分だけではないのだなとわかることもあり、また、それでも自分はこれで大丈夫だと思えるような心強い確認になりもしました。


私たちの話がこれから休学を考えている人にとっては、よくわからない「休学」の想像の助けになり、また休学中の人には共感や励ましになれば嬉しいです。


今後も随時、トピック別に座談会を開催して記事にできればと思います。では、また次の記事でお会いしましょう〜。


2021/12/1 natsumi 

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