はじめに
「日本の大学も受験するか?」
海外大学を視野に入れている人なら一度は考えることがあるでしょう。
私が出した結論は「する」でした。
海外大出願後になんとか2大学4学部を受験し、現在ギャップタームは東京大学で生活しています。
正直に、東大に来て大正解だったと思っています。それも、ギャップターム生としてだから、さらに大正解だったと思っています。
ここでは、私の経験を交えながら、ギャップタームの一つの過ごし方として「日本の大学に行く」とはどのようなことか、紹介していきたいと思います。
卒業をしない前提の授業選び
ギャップターム生として日本の大学にいることの素晴らしい点として、誰よりも自由に授業を取ることが出来ることがあります。これ、最高です。
東京大学では特に、1・2年生は前期教養学部(※1)に属して自由に幅広く学べるリベラルアーツを… と唄っているのですが、実際には色々と制限がかかっています。
※1… 東京大学では、入学時には進学先の学部は決めず全員前期教養学部に所属する。文科理科それぞれ一・二・三類に分かれておりそれぞれに単位取得や進学振り分けの制限がある。
よく言われるのは、語学の授業や課題が多くて他の科目に集中出来ないことや、必修科目と重なって取りたい授業が取れないこと。
また、特に進学振り分け(※2)があるため、授業への興味よりも点数の取りやすさも気にして履修したり、厳しい授業を諦めたりする人も多い印象です。
※2… 前期教養学部を過ごした後に、それまでの成績の点数と科類に基づき、三年生から所属する学部に振り分けられること。点数が悪いと希望する学部に進学できないこともある。
ところが、進学・卒業を前提としないギャップターム生ならば、好きなようにスケジュールを組み、学びたいことを学び尽くすことが出来ます。
私は、必修は第二外国語の中国語週5コマを含めた好きな授業だけとっています。
私は必修は本来10コマあり、進級のためにはさらにいくつか取るべき講義がありました。ですが、今はそのうち好きな授業だけ参加して、代わりに本来行けないはずの授業に潜ったり図書館に籠もったりしています。
また、東大に入ったら挑戦する、と決めていたハイレベルなゼミに参加して、その活動を中心に大学生活を組み立てています。
その他には適宜興味が出た分野の授業に行ったり、あいた時間に大学院生とイベント企画をしたりしながら、まさに「自由に学ぶ」環境を作れていると感じます。
レベルの合わない英語の授業に退屈したり、必修の大教室の講義を聞くだけの状態にうずうずしてしまったり… そんなこととは無縁です。
卒業を目指さないからこそ得られる自由、ギャップターム生として楽しんでみてはいかがでしょうか。
日本と海外の授業比較
日本の大学に来てよかったと思うもう一つの点は、日米で授業比較が出来る(予定である)ことです。
私の所属するゼミでは、エコノミストの記事をもとに各自でリサーチし、議論をすることを中心に、国際社会に対する多角的視点を育てメディアの分析力を高めることを目指しています。(詳しくはリンク)
最近扱ったトピックは、大学ランキング、北朝鮮やイランなどの核兵器の問題、エネルギー問題、台湾についてなど、とにかく多様なのですが、ほとんどどれも日本に関する議論にどこかしらで移っていきます。
こういう時、ふと疑問が湧いてくるのです。「このトピックをウィリアムズで扱ったら、どういう話になるのかな?」と。
少なくとも、このゼミで扱うほど日本の話にはならないのは明らかだと思います。また、それぞれの問題についての見解も、すぐに一致するなどということはあり得ないでしょう。
さらに、日本人同士で発言するのと、「日本人として」発言するのとは全く違うことも予想出来ます。
これらは私の想像なので、行ってみないとわかりません。でもこうした経験を日本でしてからアメリカの授業に参加すると、また新しい発見があるのではないかと期待しています。
海外で多様な視点や価値観に触れたいと考えているからこそ、日本の大学に一時期いることは特に意味のあることなのではないでしょうか。
人脈の広がり、生活リズムの確立、など…
ここまで授業についての話が中心でしたが、他にも来てよかったなと思うことがたくさんあります。
文系も理系も同じキャンパスで過ごす東大で、さまざまなパッションを持った学生や教授と出会えたこと。
ある程度の生活リズムを整えることが出来たこと。
日本の大学を留学先として選んだ海外の学生の話を聞き、交流を深めることが出来たこと。
日本に帰れば出会える最高のなかまが出来たこと。
ギャップタームは、日本の大学生として過ごしてみるのも良いかもしれません。
終わりに
日本の大学を受験するかは、とても大きな決断でしょう。
ここには書けませんでしたが、SATやエッセイ、課外活動と、国内受験を両立させるのはそれなりに大変です。
ですが、出来ることなら私は受験することをお勧めします。二つの大学で生活できることはほとんどありませんし、国境を跨いだ学びの経験は非常に貴重なものとなるはずだからです。
もし今迷われている方がいれば、ぜひギャップターム生としての日本の大学生活について考えてみてくださいね。
2018/06/14 Maki
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2019.01.27 13:00