以前、アカデミックリーディングのコツを紹介して反響があったので、今回はアカデミックペーパーの書き方を紹介したいと思います。
アカデミックペーパー独自の型や、成績を重視した場合に気をつけたいポイントについて書いていきます。
私は、今回紹介する書き方をベースにして、今学期提出した12個のペーパー全てAかA-を取りました。
自分にあった書き方や、教授によって重視するポイントはさまざまなので、参考程度に活用してください。
*今回は、5P程のペーパーをイメージして書き方を説明しています。
目次
- ペーパーを書く前に確認したいこと
- 構成
- 段落ごとのつながり
- 余裕があったら気をつけたいこと
- 活用したいサポート
- 最後に
ペーパーを書く前に確認したいこと
教授の指示に忠実に
ペーパーの基本は、教授の指示に従うことです。
フォントやページ数はもちろん、何について書くべきなのか、隅から隅まで確認しましょう。
例えばこれは、私がとっていたコミュニケーションの授業で課されたペーパーへの指示です。
Chapter 1: Introduction (Due Fri Jan 26)
Pick one of the ethical issues discussed in the chapter and describe how it happened in your life. Based on this experience, construct your own framework for ethical decision-making in case you are faced with a similar situation in future. (There is an example framework on pp 26-27. Your framework should be significantly different from the example provided in the textbook).
ここまで細かく指示をくれる教授は珍しいですが、この指示から以下のことがわかります。
- 指定の章から一つの倫理的問題を選び、どれを選んだかを明確に示す
- 問題につながる自分の経験を “describe” する
- どのようにその問題に対応するかの手順を述べる
- その手順は、教科書の例と同じくらい詳しく、かつ違ったものにする
ここで、自分の経験を書き忘れたり、手順が教科書の例に比べて雑すぎたりすると、まずAは取れません。
このように、何をどのように、どれくらい詳しく書くべきなのかを、まず把握しましょう。
教授が何を試したいのか見極める
上の教授の指示とも多少重なる部分はありますが、そのペーパーで教授が何を知りたいのかを、一度考えてみましょう。
例えば、授業を理解しているかを確認したい、その分野の論文の書き方・研究方法を練習して欲しいなどが考えられます。
それによって、内容・文の流れ・分析結果など、何を重視して書き進めれば良いのかがわかります。
授業中の教授の発言や、教授の人柄も参考にできます。
引用
当たり前ですが、剽窃(プレジャリズム)を行わないように、指定の引用フォーマットを確認の上、きちんと引用を行ってください。
ライティング用の授業などを通して、大学でも習うことができると思います。そのため、入学前に完璧にしておく必要はありませんでした。
構成
論文を書く前の準備ができたら、次は論文の基本構成をおさえます。
論文は基本的に序論・本論・結論の3パートから成り立っており、それぞれ書くべきことが決まっています。
導入(Introduction)
論文の最初の段落では、タイトルに惹かれて自分のペーパーを読み始めてくれた人に対して、何について述べているのか、どうしてそれが重要なのかを説明します。
具体的には一文目に、実際のトピックを広げた一般的なことを書き、読者の注意を引きます。
日本の七夕について、天文学のクラスで論文を書くのであれば、「人類はいつ頃から星空に魅了されてきたのだろうか。実は、中国では千年以上も前から…(日本の七夕の話につなげる)」といった感じです。
その他にもイントロダクションでは、自分の論文のテーマ、そのテーマが誰にとって重要なのか、なぜ重要なのかなども、明記するようにしています。
よく言われているのは、そのトピックに関して長年議論を続けている先輩学者たちのディスカッションに、自然な形で参加するイメージ。
急に自分の意見を押し付けたり、他人の意見を繰り返したりするのではなく、序論部分を通して、自然な形で自分の意見を発表する雰囲気に持っていくようにします。
本論(body)
導入部分で背景などはバッチリ説明されているので、本論ではペーパーの中心に当たる内容を書きます。
結論(Conclusion)
結論部分では、つい今まで書いたことのまとめをつらつらと書いてしまいがちです。
しかし、それはbodyを読めばわかることなので、本当に重要な部分だけを選んで端的にまとめるようにしましょう。
そして単なるbodyの要約にならないよう、ペーパーの結論がどのように今後役立つのか、自分の研究で足りなかったものは何か、それを補うために今後どのような研究が必要かなどを、結論で述べます。
段落ごとのつながり
構成の各部分で書く内容が異なるように、同じbodyでも、各段落はそれぞれ違った内容について論じます。
しかし、ただの羅列ではなく、一つの論文として一貫したテーマを持ち、かつ議論の流れ(ロジック)があることが必要です。
そこで大切なのが、段落の最初の一文で前の段落とのつながりを作ること。
例えば、日本の七夕についての論文を書く際、「日本の七夕伝説の内容」「現代の七夕祭り」についてそれぞれ書いた2段落があったとします。
その場合、現代の七夕祭りについての段落は、「七夕伝説はこのように日本の文化にあった内容になっており、今もなお、七夕祭りという形で人々に影響を与えている」という一文で始めることができます。
このように隣り合った段落の共通点を見いだし、最初の一文で繋げることで、段落間の移動がスムーズに行える論文になります。
(おまけ)余裕があったら気をつけたいこと
ここまでが、ペーパーを書く際に私が基本フォーマットとして使っているものです。
構成や段落間のつながりがわかりやすく、かつ指示された内容について記述し忘れることがなければ、内容以外で減点されることはまずないはずです。
このほか、私が意識していることが3つあるので、それも紹介したいと思います。
早めに始める
ありがちなのが、締め切り直前になって書き始め、時間が足りないのでとりあえず完成させ、満足のいかない状態で提出するというパターンです。
また、時間がなければオフィスアワーなどのサポートを活用することも難しくなります。
早く完成させる必要はないので、まず書き始め、どのくらい時間がかかりそうかを把握しておくことをおすすめします。
ライティングセンターを活用して、最終確認をする
大抵の大学では、ライティングセンターといって、論文を書くのを手伝ってくれる場所があります。
私は文法を直してもらいに行くのですが、英語に自信がある人でも、他人に読んでもらうことで自分では気づかなかったミスに気付くことがあったりします。
なので、ぜひ学校のサポートはフル活用してください。
オフィスアワーを活用する
オフィスアワーというのは、授業外で教授に質問できる時間のことです。
この時間は、ペーパーを書く前、書き始めた後、書き終わった後、返却された後、どの段階でも活用し放題です。
具体的には、私は以下のような使い方をしています。
- 教授がペーパーに何を求めているのかを確かめるため、大まかな内容決めを一緒に行う
- 書いている途中で構造がわからなくなった際に、アドバイスをもらう
- 提出前にペーパーの最終ドラフトを持っていき、フィードバックをもらって書き直す
- ペーパーが返却された後にオフィスへ行き、何が足りなかったのかを確認することで、次のペーパーの参考にする
少なくとも私の大学では、教授は出し惜しみせずに、たくさんのアドバイスやフィードバックをくれます。
そのため、提出をする前に、教授がフィードバックで完璧だというまで、何度も書き直すことができます。
まとめ
- 教授の指示に忠実に
- 教授が何を試したいのかを見極める
- 引用に気をつける
- 序論・本論・結論それぞれで、必要なことを書く
- 段落ごとのつながりを意識する
- 早めに始める
- ライティングセンター・オフィスアワーを活用する
最後に
いろいろ書きましたが、教授によって書き方を変えることも必要ですし、そもそも内容がなければ、形がいくら整っていてもAは取れません。
しかし、自分の考えを正確に伝えるためにも、内容を吟味することと同じくらい、基礎的な形を整えることは大切だと思います。
私の場合は、授業が人文と社会科学に寄っているので、自然科学でのクラスでは書き方を変える必要もあるかもしれませんが、参考になればうれしいです。
2018/05/14 amu
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