海外大学への進学は万能薬じゃない。アメリカの大学で感じた5つのデメリット。

高校生の頃の私は、海外大学と聞くと、グローバルとか多様性とか、キラキラした言葉を思い浮かべました。


さらに情報を集めてみると、専攻を決めずに幅広く学んでから学部を選べるリベラルアーツ教育や、世界からトップレベルの学生が集まるアイビーリーグなど、キラキラが増しました。


実際、海外大学に進学した先輩や同学年の友達は、新聞に取り上げられていたり、団体を率いていたり、キラキラしています。


海外大学を卒業された先輩方も、一流企業で活躍されていて言わずもがな。


そんな中で高校生の私が少し思っていたのは、これじゃあまるで、副作用がない特効薬みたいで、何か見落としている気がするってこと。


というわけで今回は、実際にアメリカの田舎にある小さなリベラルアーツ大学に進学して一年目を終えた私が、「アメリカの大学に行っていなければなぁ」ともどかしく思ったことを紹介したいと思います。


2年・3年と過ごせばまた変わってくるかもしれないし、都心の大学、総合大学に行っている子とはまた違う経験だと思いますが、1つの経験談として読み進めてみてください。


この記事を書いた理由

私はシェアブロードを運営し始めた時から、「キラキラした面だけでなく、先輩と一緒にお泊まりをして初めてぽろっと聞けるようなマイナスな面も、高校生が知ることができたらいいよね」と共同運営者のyukaと話していました。


とは言っても、もっと大学での生活を積んでからでなければ、本質をつかない情報になってしまうのではないかと、少し不安です。笑


しかしそう思いつつも、今学期何度か、アメリカの大学にいるせいでできないことにぶつかり、悩む場面がありました。


その経験を伝えることで、将来同じ壁にぶつかった子が1人じゃないって思えたり、進路を決める際の視野を広げるきっかけになったりするかもしれない。


そう思ったので、私はこの記事を書くことに決めました。


(この記事で高校生が海外大学を嫌いになってしまうのは嫌なので、一応プラスな捉え方も添えますね)


アメリカの大学に行っていなければ…と思ったこと

1. 授業を楽しまないと、生活全体がつらい

私は運が良く、秋学期・春学期ともに取った授業の内容や教授が好きでした。


そのため、一年を通して「勉強」を楽しむことができたと思います。


しかし友達の中には、取った授業にあまり興味が持てず、そうなると課題のリーディングもつまらないものになるので、辛そうに過ごしている人もいました。


私自身も、リーディングが面白いと思った時は、何かを学んでいるという実感と、自分の好奇心が満たされていく感覚で、とても幸せになる一方、内容が自分の興味とずれているものだと、つまらなく感じてしまうことがありました。


授業は自分が何に興味があるかを見つけるためのきっかけであり、それがリベラルアーツ教育の良いところです。


ただ日本と違うのは、授業がとにかく中心にあるということ。


日本の大学に行っていたら、同じ状況に置かれていたとしても、おしゃれなカフェに行ったり、友達や家族と会って話したり、課外活動を生活の中心にしたりして、上手く調整できるのではないかと思います。


<授業に打ち込めるのは良いところ>

アメリカの大学では、授業に打ち込むことが前提とされていますし、それが良いこととされます。(スポーツに一生懸命な子、学外のコンクールでエンジニアの技術を磨いている子なども、もちろんいます)


授業は、毎回数十ページのリーディングを読んだことが前提で進むし、教授が質問を投げかけたら、必ず誰かが手を挙げて答えます。


また、学校内のアルバイトや、休暇中のインターンに申し込む際にも、GPA(成績)の影響力は大きいです。


そしてその分、授業内で理解できないことがあれば、教授が一から教えてくれたり、チューターをつけることができたりなど、サポートが充実しています。


つまり、勉強に集中できる環境なのは、間違い無いです。


2. あくまでマイノリティ

当たり前ですが、いくら留学生をたくさん取り入れている学校であっても、日本人はマイノリティに部類されます。


スタッフや現地の生徒に、他の生徒とは違う対応をされた時、あぁ私が日本人だからかな…とどうしても不安になってしまうし、それは今まで経験したことがない気持ちでした。


また生徒は、授業で活躍することや課外活動で経験を積むことなど、多くのことが求められます。


しかし、異文化の理解や英語の上達などやらなければいけないことが、留学生であることによってさらに増えます。


やらなければいけないというよりも、やらなければいけない気がして、勝手に焦ってしまいます。


この一年の間にも、他の留学生や日本人の子と一緒に過ごしていると、誰に言われるでもないのに、アメリカ人といない私は楽をしているのかなと、罪悪感を感じてしまって辛くなる時がありました。


この辺は自分の心持ち次第だし、上手にコントロールできるはずのところではあるのですが、アメリカの大学に行っていなければ感じなかったことかなと思います。


<多様性や異文化を学んでいるということでもある>

「あなたに私の気持ちなんてわからない。」


こんなセリフがあるように、同じ環境に入ってみなければ理解できない気持ちというのは、確かに存在すると思います。


具体的には、今学期、教授候補のプレ授業を受ける機会がありました。


そしてその人の、「アメリカ人でBを選んだ人は手をあげて。」というセリフだけで、私は授業中に泣きました。


最初に「アメリカ人で」と条件付けされていることで、教授の質問対象に自分が含まれていないという理由で、です。


今となっては私にも、なぜこれだけのことで自分が感情的になったかわからないので、留学していなければ訳がわからない感情でしょう。


でも、この体験があることで、マイノリティという場所にいる人の気持ちが、前よりも少し、本当に少しだけ、わかるようになれたのかなと思います。


他にも覚えているのが、学生が集まる食堂で最初に日本人の友達と共有した感想が、「カラフルだね。」だったこと。


髪色、肌の色、服の色、全て含めて、初めてアジアを出た私が素直に思った感想がこれでした。


それくらい、私は今まで多様性というものに触れてこなかったのだと思います。


多様性、多様性って、だから何って感じもしますが。


でも、世界には文化がたくさんあって、かつ日本人が一括りにできない様に、その文化の中にもいろんな人がいるということを、肌で感じたことのある自分の方が、私は好きです。


3. 日本での課外活動はもちろんできない

日本での課外活動ができないというのが、私が一番葛藤したところです。


これに関係して今学期一番ショックだった出来事は、リモートライターとして働いていた会社の規約が変わり、オフィスに通勤できない私はクビになったこと。


とても好きな会社で、かつ将来に役立つとやる気を感じていただけに、辛かったです。


他にも、日々Facebookに流れてくる、面白そうなイベントやセミナーにいけないこと、インターンで長期プロジェクトを運営できないことなど、もどかしさを感じる場面はたくさんありました。


課外活動に重きを置きたい人は、キャンパス内でできる課外活動を基準に、進学先を考えてみてください。


また、ギャップタームの間に、夏休みに帰国した際や学期中にできることを増やすための、基盤づくりを意識するのも良いかもしれません。


<アメリカの大学にいながらできることもある>

日本での活動は制限されますが、アメリカの大学でもできる活動、むしろアメリカの大学に進学したからこそできる活動もあります。


  • リモートで働く
  • 留学フェローシップなど海外大学生だからこそできる活動をする
  • 読書・コーディングなど、場所を選ばずに学べることを授業外で始める
  • 校内の課外活動
  • アメリカ国内でのインターンやボランティア


小規模のリベラルアーツ大学では、学生団体やクラブの規模も必然的に小さくなります。


しかしその分、新しいクラブを始めることや、幹部になって主体的にそれらを動かしやすくなります。


というわけで、やりたいことの優先順位を決めて、進学先で自分ができること・できないことと、照らし合わせてみてください。


4. 日本の大学生活は体験できない

私は、日本が大好きです。


フェスに行きたいし、表参道の期間限定パンケーキだって食べたいです。


遊びたかったというよりも、友達みんなが経験している、日本の大学生活を知りたかったという感じですかね。


こればかりは、体が一つしかないのでどうしようもありません。


アメリカの大学に入学して、授業は基本楽しいし、いろんな国から来た友達ができたし、それはもうたくさんの良いことがあったけれど。


でも、日本での大学生活も体験したかったというのが本音です。


これは、良く捉えるも何もありませんね。私が欲張りなだけです(笑)


5. 日本にも、リベラルアーツを採用している大学はある

日本の大学をきちんと調べていなかった私は、受験時に知らなかったのですが、ICUの様に、日本でリベラルアーツ教育を受けることも可能です。


もちろん、日本の大学に通って、短期留学をすることも可能です。


何が言いたいかというと、メリットを聞いてすぐに「海外!」と絞ってしまうのではなく、選択肢の一つとして、日本の大学と一緒に、良く吟味してほしいなということです。


ここまで書いてわかる様に、日本の大学だからできること、海外の大学だからできることがそれぞれあります。


偏差値に囚われていた頃には気づけませんでしたが、日本の大学にも校風があり、特徴があります。


もしかしたら、あなたが望んでいるものは日本の大学でも手に入るものかもしれません。


または、アメリカでなくてイギリス、アブダビの方があっているかもしれません。


時間の許す限り、少しでも多くの国を、少しでも多くの大学を、吟味してみてください。


とは言いつつ勢いで飛び込んだ私

リベラルアーツはアメリカにしかないものだ!と思い込み、アメリカのリベラルアーツに絞って出願した私。


上に書いてある様なデメリットも、想像はできたかもしれないけれど、あまり考えていませんでした。


それでも、後悔はしていません。多分この先もしません。


新しいものに興味があって、自分が体験したことがない気持ちをたくさん知りたくて、そして挑戦が好きな私には、これ以上ない幸せな選択です。


私は進学先にかかわらず、人生の分岐点にいるとき、どの選択肢を選んでもどうせ良いこと・悪いことがあると思っています。


だから、一度思い切って選んだのなら、それを選んでよかったって思える様にすればいいんです。


でも、入学した後に別の大学に編入するなど、後から選択肢を変えることだってできるし、事前の調査も多いに越したことはありません。


少しでも多くの人が、海を越えた選択肢も含めて、一番気に入ったものを選べるといいなと思います。


また、すでに進学先を決めた後輩たちは、自分の選択を信じて、その選択を最良のものにするために頑張ってください。応援しています。

2018/03/19 amu

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